Windows10, Windows11に標準で入っているWindowsセキュリティ(旧Windows Defender)は非常に優秀なので、市販のウイルス対策ソフトは必要ないという話を聞いたことはありませんか?
本当に入れなくてもいいなら、お金もかかるしやめようかな…
でも今までずっと入れていたし、どうなんだろう?
ウイルス対策ソフトが必要かどうかお悩みですね。
それはずばり、PCの使い方によります!
自宅で情報を検索して読むだけ、YouTubeなどの動画を見るだけという使い方ならば買わなくても大丈夫かもしれません。
本記事ではITセキュリティ業界歴20年以上の筆者が、市販のウイルス対策ソフトが必要な人と、入れなくても大きな問題はない人について解説します。
次の人はウイルス対策ソフトの導入がオススメです。ぜひ最後までお読み下さい。
- インターネットバンク・ネット証券などインターネットを介してお金のやりとりがある人
- インターネット上のファイルをダウンロードする機会がある人
- ウイルスに感染したかも?と不安になったとき相談先が欲しい人
※コンピュータウイルスのことを「マルウェア」等と呼ぶこともありますが、本記事では「ウイルス」で統一します。
市販のウイルス対策ソフトが必要な人、不要な人
最初にお伝えしたいのは、セキュリティ対策に「絶対はない」 ということです。
残念ながら、PCを普通に使用している以上「絶対にウイルスには感染しない」「絶対に情報漏洩は起こらない」方法はありません。
例えるならば、「車が通行している道を通る限り、交通事故あう確率をゼロにはできない」「ドアや窓のある家に住んでいるならば、泥棒に入られる確率をゼロにはできない」と同じというとイメージしやすいでしょうか。
可能性が高いか低いかという議論しかできません。最終的なリスク判断はご自身でお願いします。
結論は次の通り。
Windows標準機能で守れる範囲の使い方の人 ⇒ 不要
Windows標準機能のみでは守れない使い方の人 ⇒ 必要
そりゃそうだという話です。具体的に見ていきましょう。
Windows標準のセキュリティ機能とは
Windows 10(今後はWindows 11も)にはWindowsセキュリティという機能が標準搭載されいます。
以前はWindows Defenderセキュリティセンターと呼ばれていて、Windows Defenderという名前で覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
Windowsセキュリティの機能が優秀というのは本当です。しかし、万能ではありません。
市販のウイルス対策ソフトが必要かどうかは、PCの使用方法によります。
市販のウイルス対策ソフトの必要性が低い人
市販のウイルス対策ソフトの必要性が低い人とは、下記のようなPCの使い方をしている人です。
- PCは自宅のみで使用。公衆無線LAN(無料WiFi)には繋がない
- Windows標準搭載のブラウザEdgeを使用して、ニュースや必要な情報を検索して読むことがメイン
- SNSで自身の情報を発信したり、他の人の情報を読むことはある
- YouTubeなどの動画を見て楽しんでいる
情報収集や娯楽のためにPCを使う人ですね。
こんな方はWindowsの標準機能のみの使用でも問題が起こる可能性は非常に低いと言えます。
市販のウイルス対策ソフトを入れた方が良い人
一方で、市販のウイルス対策ソフトを入れた方が良い人とは、下記のどれか1つでもあてはまる場合です。
- 公衆無線LAN(無料WiFi)に繋ぐことがある
- ChromeやFirefoxなど、Edge以外のブラウザを使用している
- インターネットやUSB等を介してファイルのやりとりをしたり、アプリをインストールすることがある
- インターネット上のサイトを使用して、金銭に関する手続きを行うことがある(ネットバンク、ネット証券)
- ファイルの操作が重いと、業務に支障があり非常にストレス
- ウイルスに感染したかも!?と思ったときに、問い合わせ先があると安心
お仕事でPCを使われている方は、こちらに含まれるのではないでしょうか。
もちろん上記のケースでもWindowsセキュリティが守ってくれることもありますし、冒頭で述べたように市販のウイルス対策ソフトを入れたのに被害にあってしまうということもあり得ます。
しかしWindowsセキュリティで守ることができない部分がある以上、市販のソフトを入れておく意味はあります。
Windows10の標準機能では何ができるの?
Windowsセキュリティのポイント
Windowsに標準搭載される【Windowsセキュリティ】機能の抑えておくべきポイントは以下の3点です。
- Windows標準機能にも、ウイルススキャン機能とファイアウォール機能がある
- ウイルススキャン機能とファイアウォール機能は、市販のウイルス対策ソフトを入れると、Windowsの機能は停止し市販ソフトの機能が使われる
- ウイルススキャン機能とファイアウォール機能以外は、市販のウイルス対策ソフトを入れても入れなくてもWindows標準の機能が使われる
Windowsセキュリティに搭載される機能
【Windowsセキュリティ】には、以下の機能が搭載されています。
ウイルス対策とは関係ない機能も含まれていますし、専門用語でわかりにくい部分もありますので、一つ一つを細かく理解する必要はありません。
- ウイルスの脅威の防止
-
リアルタイムで監視し、ウイルスの侵入を予防・検知する機能
Windowsセキュリティのウイルスの脅威の防止の部分を「Microsoft Defender ウイルス対策」と呼ぶ
※市販のウイルス対策ソフトを使用している場合は、市販のソフトの機能が使われます。 - アカウントの保護
-
サインインオプションとアカウント設定の機能
具体的には、
・パスワード管理
・Windows Hello(顔、虹彩、指紋、PINを使用してサインインする機能)の管理
・動的ロック機能(Bloutoothを使用して、ユーザーがPCから離れるとロックするような機能)の管理 - ファイアウォールとネットワークの保護
-
必要なアプリケーションの必要な通信以外の通信を遮断する機能
※市販のウイルス対策ソフトがファイアウォール機能を提供している場合は、市販のソフトの機能がここで使われます。 - アプリとブラウザーの制御
-
Microsoft Defender SmartScreen(危険性のあるアプリ、ファイル、サイト、ダウンロードからPCを保護する機能)の設定の管理
Exploit Protection(OSのプロセスやアプリに対する攻撃を軽減する機能)の設定の管理※ここで言う「ブラウザー」はWindows10標準搭載のEdgeのことです
- デバイスのセキュリティ
-
ハードウェアの持つセキュリティ機能の管理
OSの起動時に読み込まれるマルウェア(=ウイルス)を防ぐ「セキュアブート」機能 - デバイスのパフォーマンスと正常性
-
ストレージ容量や、バッテリー駆動時間などの確認機能
正しい時刻に設定するWindowsタイムサービスの管理など - ファミリーオプション
-
子どものオンライン状態と家庭内のデバイスの管理
使用時間や金額の制限などが可能
OSが搭載する機能ですので、利用者が意識しなくても動作している「縁の下の力持ち」的な機能です。
利用者に大きく主張することなく、デフォルト設定から調整しなくても、PCの使用しやすさと安全度のバランスが保たれるように設定されています。
市販のウイルス対策ソフトでは何ができるの?
PCの保護は
- 市販ソフトのみで保護できる部分
- Winowsと市販ソフトのどちらかで保護できる部分
- Windowsセキュリティのみで保護できる部分
の3種類に分けられることを見てきました。
それでは、市販のウイルス対策ソフトには何ができるのでしょうか。
もちろん、市販のウイルス対策ソフトには数多くの種類があり、それぞれに工夫されている点や売りとしている機能があります。
選ぶ際に確認すべきポイントをお伝えしていきます。
ポイント1:ウイルス対策
ウイルススキャン機能。メイン機能ですから、ここが一番大切です。
どのようにウイルスのスキャンやリアルタイム監視を行って、危ないファイルの侵入や起動を防ぐのかが腕の見せ所です。
利用者からは見えない部分ですので、いくつかの第三者機関がウイルススキャン機能の性能をテストし、結果を公表してくれているので既知のウイルスについては、それを参考にするのが良いでしょう。
例えば、オーストリアの第三者機関「AV-Comparatives」が17製品に対して実施したMalware Protection Testの2021年9月の結果は下記のようになっています
■防御率
ウイルス対策ソフト名 | 防御率 | |
---|---|---|
1位 | McAfee Total Protection | 100% |
2位 | NortonLifeLock Norton | 100% |
3位 | Avira Antivirus Pro | 99.98% |
: | ||
11位 | Microsoft Defender Antivirus | 99.97% |
■誤検知(ウイルスではないものをウイルスと検出)の少なさ:テスト対象ウイルス数:10,029
ウイルス対策ソフト名 | 誤検知数 | |
---|---|---|
1位 | ESET Internet Security / Microsoft Defender Antivirus | 1 |
2位 | Avast Free Antivirus / AVG Free Antivirus / Kaspersky Internet Security | 2 |
3位 | Total AV Total Security / Trend Micro Internet Security | 3 |
Microsoft Defender Antivirusは、防御率では17製品中11位、誤検知の少なさでは1位でした。
\防御率一位のマカフィー製品はこちらから/
さらに、市販のウイルス対策ソフトでは、Microsoft セキュリティ以上に未知のウイルスへの備えが充実しているものが増えています。
ポイント2:パフォーマンス(PC動作の重さ)の改善
よく言われることですが、「セキュリティと利便性は相反する」ものです。
安全性のみを考えればパフォーマンスは関係ありませんが、PCの使用感に大きく影響します。
例えば、どんなに念入りにウイルスかどうかを調べてくれて安全性が非常に高かったとしても、ファイル1つを開くのに5分かかっていたらPCとして使い物になりませんよね。
ウイルス対策はしっかりしてほしい
でもPCを使っていて動作の重さを感じるのは嫌だなぁ
ウイルス対策ソフトは、利用者の1つ1つの動作に対してチェックを入れていくので、作り込み方によっては非常に重さを感じるものがあります。
パフォーマンスについては利用者が実感として感じられますので口コミを確認することもできます。
また、ウイルス対策機能のように第三者機関が検査して公表している結果を確認することもできます。
上でもご紹介したオーストリアの第三者機関「AV-Comparatives」が17製品に対して2021年10月に実施したPerformance Testの結果では下記のようになっています。
■パフォーマンススコア
ウイルス対策ソフト名 | |
---|---|
1位 | Panda Free Antivirus |
2位 | Kaspersky Internet Security |
3位 | AVG Free Antivirus |
: | |
17位 | Microsoft Defender Antiv |
Microsoft Defender Antivirusは 、なんと17製品中で最下位です。
特にファイルのコピーやアーカイブで遅いという結果が出ています。
ポイント3:金銭被害の防止
ポイント1で見たように、Windows セキュリティは、既に知られているウイルスを確認する機能には大きな不足はないといえます。
しかし、メールセキュリティやネットバンク保護などの機能は、市販のウイルス対策ソフトのほうが充実していると言えます。
イギリスの第三者機関「MRG Effitas」の「Online Banking Testingの2021 Q2」の結果は下記のようになっています。
360°Online Banking Degree
Certified(認定製品) | Not Certified(不合格製品) |
---|---|
• ESET Endpoint Security • Malwarebytes Endpoint Protection • Symantec Endpoint Protection | • Avast Business Antivirus • Avira Antivirus Pro • Bitdefender Endpoint Security • F-Secure Computer Protection Premium • Microsoft Windows Defender • Sophos Intercept X • Trend Micro Security |
360°Online Banking Degree は、ネット銀行を攻撃することを目的として作られたウイルスの攻撃から完全に保護されたか等の3つの基準により判定されます。
残念ながら、Microsoft Windows Defender は認定されていませんね。
ポイント4:サポート機能の充実
市販のウイルス対策ソフトは、サポートが充実しているものがあります。
有償オプションを購入すると、質問できる時間帯や方法、範囲が広がる製品もありますので、購入時はご自身の希望にあったサポートが受けられるものを購入してください。
「市販のウイルス対策ソフトはいらない」の本当と嘘
Windows10になってから、市販のウイルス対策ソフトは使っていないけど、ウイルスなんかに感染したことはないって言っている人もいるけど…
最近のウイルスは、感染したかどうか使っている人にはわからないケースが多いので、本当に感染していないかどうかはわからないのです
一昔前(25年くらい前)のウイルスと言えば、いわゆる愉快犯が話題になりたい・自身の技術力を誇示したいという動機でつくるものでした。
そのころのウイルスは画面上に花火のアニメーションが表示されたり、ブラウザが永遠に新しいウインドウを表示し続けてPCが固まってしまうような、動作が派手でわかりやすいものでした。
時は流れ、近年のウイルスの作成動機は「金銭目的」です。
金銭目的の場合は利用者にばれないに越したことはないため、ひっそりと動作するものが多いです。
PCから盗み出された個人情報を裏で売られたり、PCから盗み出した会社の機密情報がこっそり競合他社に売られたりしていても、私たちは気づきようがありませんね。
そんなことから、「ウイルスなんて感染したことない」「金銭被害にあったことがない」という利用者の体感だけで、安全と判断することは難しいです。
まとめ:市販のウイルス対策ソフトが必要かどうかは使い方による
市販のウイルス対策ソフトが必要かどうかは使い方によります。
次のような方は、市販のウイルス対策ソフトを使うと安心です。
- インターネットバンク・ネット証券などインターネットを介してお金のやりとりがある人
- インターネット上のファイルをダウンロードする機会がある人
- ウイルスに感染したかも?と不安になったとき相談先が欲しい人
ご自身の使用方法から適切に判断して便利で安全なPCライフを送ってくださいね!
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